- 第14期ひろしま労働学校第1回「マルクス『資本論』の映像を見て討論」資料③
目 次
- (1) 唯物史観とは? …
- (2) 価値法則とは? …
- (3) 物象化と物神化 …
- (4) 物質代謝 …
- (5) 『資本論』での共産主義に関連する記述 …
25の章からなる7つの篇で構成され、剰余価値論を中心として一つのまとまりを持っている。
『資本論』全体の土台とも言える第1~2篇では、「商品とは何か」ということから入り、価値論、商品流通と貨幣、貨幣の資本への転化を論じる。
そして第3~5篇では、労働力商品化すなわち〈資本家と労働者の搾取関係〉を基礎とした剰余価値の生産(絶対的剰余価値の生産と相対的剰余価値の生産)の解明を行う。
その上で第6篇では、労賃(賃金)という範疇(はんちゅう=カテゴリー)は、資本の生産過程の要(かなめ)をなす労働力の商品化、剰余価値の搾取を覆い隠す形態であるということを論じている。
この賃金論をつなぎ目として、第7篇では、生産された剰余価値の資本への転化である「資本の蓄積過程」(蓄積論)が論じられる。資本の蓄積運動の解明は、資本の再生産過程〔繰り返しの生産過程〕そのものの解明であるから、この第7篇から第2巻、第3巻の全体が資本の蓄積過程論をなしていると言える。
21の章からなる3つの篇で構成され、資本の流通過程そのものが研究対象をなす。とはいえ、第2巻全体は、資本の蓄積過程=資本の再生産過程を、資本の生産過程と資本の流通過程の統一としてとらえようとするものである。
6つの章からなる第1篇の第1~4章では、生産と流通の両過程を通して循環的に運動している資本の形態変化(=変態運動)そのものを研究する。この部分は、価値の自己運動体としてある資本の基本的性格をつかむ上で非常に重要である。
この4つの章を踏まえ、第5~6章では、資本の運動に不可欠な流通期間と流通費用について論じる。
第2篇では、資本の循環運動を周期的な過程として取り扱い、資本の回転期間と呼ばれる資本の循環周期を規定する要因、また資本の回転期間が、剰余価値の形成や投下資本の大きさに及ぼす影響を論じる。
そして第1~2篇を前提に、第3篇において、再生産表式に総括される社会的総資本の再生産過程論を通して、資本の蓄積過程=資本の再生産過程は、資本の生産過程(直接的生産過程)と流通過程の統一であるということを明らかにする。
なお再生産表式は、社会的総資本の流通の絡み合いの中で実現される資本主義社会の物質的再生産過程が、労働を実体とする客観的な価値関係により規制されていること、すなわち価値法則(資本主義の経済法則)を2階級(資本家階級と労働者階級)、2大部門(生産手段生産部門と消費手段生産部門)間の関係において、人間生活の物質的生産・再生産という根本の次元から論証している。
この価値法則そのものは、労働力の商品化を基軸とした資本主義社会における物的生産の均衡とそのための社会的総労働の配分を、商品価格の変動を通した生産過程への法則的規制の形で実現するものであり、資本主義が一社会として成立している絶対的根拠を明らかにしている。